謌唄いの詩
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■物語り風ショートストーリー
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■謌唄いの詩
■物語り風ショートストーリー
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■謌唄いの詩
ショーが始まる。
舞台袖の小さな楽屋の大鏡の前で、
謌唄いのリオンはそっと姿勢を正した。
鏡に映るその姿を、じっと見つめる。
遠い異国の色鮮やかな水色のペンダント。
古き民族から貰った、新緑のブレスレット。
純白のリングに、渡り鳥をかたどったピアス。
どれも黄金色の真鍮に、厳かに飾られている。
これらは全て、彼女が旅の途中で集めてきたものだ。
遠く長い、旅の途中で。
神秘的なものを纏うと、その香りが立つ。
そうリオンは感じる。
目を向ければその時々の様相が脳裏に浮かんでは消え、
異国の風が頬をなでる。
彼女はしばし、その余韻に浸る。
観客席から歓声が響く。
ショーが、始まる。
リオンはすらりと立ち上がると、舞台への階段を登り始める。
異国の優美な、香りを漂わせて。
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