Dの物語
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■物語り風ショートストーリー
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■Dの物語
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■Dの物語
晴天の空。
深緑の木々に囲まれた、色鮮やかな原っぱ。
その原っぱの北方が、真っ黒な闇に覆われていた。
その闇の先頭に佇む何かがいる。
その何かから後ろは、全て闇だった。
それがゆっくり一歩を踏み出す。
引きずられるように、闇がズズとそれに合わせて動き、さっきまで美しく咲いていた足元の花が呑まれていった。
それが歩みを進めるたびに、徐々に、徐々に原っぱが侵食されていく。
それの前には鮮やかな色彩、それの後ろには、真っ黒な闇が広がっている。
古(いにしえ)から呼ばれる名は『D』。
緩慢に流れる時間の片隅から、徐々に世界を壊してゆく存在。
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