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塔を登る少年

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■物語り風ショートストーリー
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■塔を登る少年
 
 
少年が見渡した世界には、いつもひとつの塔があった。
 
どこまでも続く、高くそびえる塔だった。
 
だけどその塔には、なにもなかった。
 
語り継がれるような伝説も、逸話も、残るはずのその歴史さえも。
 
ただ、遠くに行くほどに霞むその世界の中に
 
かろうじて、ぽつりとあるだけだった。
 
 
少年は、ときおり空を仰いでは、深い色をたたえたその瞳で、
 
そっとその塔を見つめていた。
 
 
 
少年はその日、塔を登ることを決意する。
 
 
 
少年は、塔を登る。
 
 
 
塔の頂上はどんなふうだろう。
 
僕は、偉業を達成してみせる
 
そこから見渡す景色はどんなだろう。
 
世界は、もっともっと広いはずだ
 
どこかに、この塔を知る手がかりが残されているだろうか。
 
僕がこの塔の歴史を見つけ、みんなに伝える
 
なにかあるかもしれない。あるはずだ。
 
変えるために、僕はここにきた
 
 
 
無事に、たどりつけるだろうか
 
 
 
人々から関心を集めることもなく、ただ佇むその塔。
 
けれど少年は、その塔に興味をもった。
 
 
 
少年は思った。
 
もし、僕がこの塔を登りきり、なにかを得て、何かを残すことができたら。
 
もし、そんなことができたら。
 
塔は。
 
僕は。
 
 
 
悴んで感覚を失った足がもつれ、少年は現実へと戻される。
 
足元を確認しようとした瞳が、はるか遠くの小さな集落に止まる。
 
 
 
世界を見渡すその塔は、どこまでも高く遠く、ただ、静寂につつまれていた。
 
 

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